昨日お越しいただいたお客さまのお話です
ご来店されて、「この靴見てほしいんですけど・・・」と、お出しになった箱を見て、チョットの緊張と、まさか!の予感が同時に襲ってきました
その箱は、足が細くて薄くて、履く靴がなかなか見つからないお客さまに、「デザイン的にはお気に召すものは見つけにくいと思いますが、サイズの展開が豊富なので、行ってみてはいかがですか」と、よくお勧めしているお店のもの
緊張の理由は、それでも合わないという、対処の仕方が難しいお足なのか・・・?
まさかの予感は、そのお店の商品が変わってしまているのか?はたまた、対応がいい加減なのか?
当たったのは、嫌な予感
ただし、商品ではなくて、対応のまずさの方でした
今回の記事は写真なしです、ゴメンナサイ
写真を出すと、どこなのかすぐ分かるのは、いかにも“アレ”なので、自粛しました
お客さまのお足は、左右で開帳足の度合いが違い、外反母趾の度合いも違うお足
片方の足の小指が当たるということで、3度調整したけど直らないので、もう二度とあそこでは買わないし、お店にも行きたくないとのこと
中敷をはがすと、何を狙った調整なのか解らない調整でした
痛くなる指の下の半敷きをカットして、小指の逃げ場を作ってあります
さらに、革を伸ばし、小指へのあたりを少なくしています
これは、小指が当たる時の基本的な対処の仕方ですが、お客さまの小指が当たる原因を無視した対応です
私自身もそうですが、開帳足の度合いが左右違うと、靴に対する足幅が左右違うことになります
その場合、開帳足で広くなった足の方の小指や甲が当たって痛くなるケースが多くなります
崩れてしまった横アーチを支えることが、開帳足の第一の調整なのですが、この靴には全くそれが行われていません
さらに、アーチパットの大きさ、高さ、位置が、お客さまの足の特徴に全く合っていません
むしろ不快感が出るだろうな、という位置にあります
「フットプリントはとりましたか?」
「いいえ、サイズを測っただけです」
???
サイズを測っただけにしても、お客さまのアーチの特徴くらい把握しないのかな??
土踏まずのアーチは人によってものすごく個性があります
長さ、アーチのピークの位置、ピークの高さ、母趾外転筋の大きさなどを観察して、アーチパットの種類、入れる位置を決めます
お客さまのアーチはチョット個性的でした
それすらも把握しないで、このアーチパットを入れたのか!?
なんだかとても残念な気持ちになりました
このお店の社長の理念は素晴らしく、私もいつか「靴も売る靴屋」になる時がきたならば、この社長の理念を追い越せるようになりたいと思っていました
しかし、どうやら現場では、十分に社長の理念が浸透していないようです
それとも、靴はお客さまの足に合って初めて商品になる、店頭に並んでいるときには、半完成品だ、ということを忘れてしまったのかもしれません
最近は、色々な企業とコラボ企画で靴を作り、通販で売りまくっているようですから
お客さまの足の特徴に合わせてアーチパットを入れ替え、開帳足で崩れた横アーチを支えるパットを入れさせていただくと、小指をのあたりはなくなりました
そうすると、靴に余裕ができてしまい、かかとが抜けます
そのためのサイズ調整が必要になります
靴に頼れる部分が多いのデザインなので、サイズ調整もすんなりと出来ました
「ワーこんな感じ始めて!これなら長く履いても大丈夫そう!!」と一番嬉しいい一言を聞かせていただけました
サイズ展開の豊富さで、ここの靴をはずすわけにはいかないのが現状です
価格も三万円前後とチョットお高め
お客さまへの個別対応力がダメなら、ダメで、調整なしで合えばラッキー、合わなければ、ゴメンナサイ、うちへ持ってきて調整しませんか?こんなご紹介の仕方に変えようかな・・・